少年剣士 宮本武蔵
作品解題
※初出第1回目扉

この作品は「小学六年生」に1962年4月号から6月号まで連載された。掲載誌に挿まれる形での変形サイズだった。 カラーでの雑誌掲載はなく全3回(46枚)のみ。 インタビュー等で白土がこの作品について言及している部分を以下に載せる。文中では「ムサシ」と呼称。

白土:雑誌社で最初ケンカになるのはね、学年雑誌の場合、監修者っている訳ね。それが古いわけ、大学の先生とか。そういう人らが「これは児童の教育によくないから」って言って規制しちゃうから。すると編集部が描き直しを言ってくる。ずいぶんあるよ、俺の作品では。『ムサシ』だとか『シートン』とか、とにかくそういうのでケンカしてやめてるんだから。
※「月刊漫画ガロ」1994年9月号(青林堂)「対談:白土三平×長井勝一」より (1996年3月号にも再録)

思い切って雑誌の仕事に移ってはみたが、昔の雑誌社は古い体質があって、私とは案の定ソリが合わず、よく話がこわれた(連載、掲載がご破算になった)。というのは、学年雑誌などには監修者というのがいて、私が描いた「シートン動物記」でも「ムサシ」でも、「残酷である」とか、「子供たちの情操を刺激しないように」と言い、表現を婉曲にしろと命じてくる。それで私も途中で描くのをやめてしまったりした。
※ビッグコミックススペシャル「ビッグ作家究極の短編集白土三平集」(1998年2月1日発行/小学館)インタビューより
復刻本(2009年)について
※復刻本表紙

「復刻版 忍者武芸帳」全巻予約特典小冊子。非売品。内容は新たな付加無しの漫画部分のみ。 連載誌は東京上野の国際子ども図書館に1962年5・6月号のみ納められており、そこで連載第2・3回目は読むことが出来たが、連載第1回目掲載の4月号は所蔵しておらず、全話読むのは困難な作品だった。現代マンガ図書館の「白土三平資料」には国際子ども図書館のもののコピーが挿まれているが、これももちろん連載第2・3回目のみである。ほとんどの白土ファンはこの復刻で初めて触れることの出来たことと思う。