忍者武芸帳 |
影丸最期の言葉 |
「われらは遠くから来た そして遠くまで行くのだ………」
影丸の最後の言葉「われらは遠くから来た そして遠くまで行くのだ………」(初出写植ママ)は影丸(白土)独自の言葉として広まっているが、これはイタリア共産党のパルミロ・トリアッティ(Palmiro Togliatti 1893-1964)の言葉を利用したものだ。マルクス=レーニン主義・プロレタリア主義視点の言葉なのである。まだ長編漫画と呼ばれるものが「忍者武芸帳」「カムイ伝」位しかなかった時代、この言葉のなんと大きく響いたことだろう。(050123) と、以前このサイト上に書いたところ、漫棚通信氏が検証を行ない、出典と思われるものをつきとめている。「われわれは遠くからきた そして、われわれは遠くまで行くのだ -パルミロ・トリアッティ-」これは「明治維新史研究」(羽仁五郎著/1956年9月15日発行)のまえがきにあった。漫棚通信氏が自身のサイトにその検証記を綴っている。 ・サイト「総本家漫棚通信」内 「特別企画:遠くから遠くまで」 私も原典を調べてみようと思い、原文「Veniamo da lontano e andiamo lontano」「Veniamo da lontano,andremo lontano.」などで検索してみたが、「トリアッティの格言」「スローガン」ということ以外見付からなかった。どうやら1970年以前のイタリア共産党(1921-1991)を象徴する言葉らしい。共産主義を皮肉るポスターなどにもこの言葉が書かれていたので、もしかすると書籍としてではなく「イタリア共産党のスローガン」として演説・ポスターなどに頻繁に使用されていた言葉なのかもしれない。実際トリアッティはこの言葉をよく使っていたらしい。そう考えるとこれほど世界的に有名なのも頷ける。 ※左:「忍者武芸帳16下」白土三平(1962年11月20日初版発行/東邦図書出版社) P110 ※中:「明治維新史研究」羽仁五郎(1956年9月15日初版発行/岩波書店) 外箱 ※右:「明治維新史研究」羽仁五郎(1956年9月15日初版発行/岩波書店) 「まえがき」より |