よくある質問
Q.本屋に行くと「カムイ伝」というタイトルがたくさんあってどれがどれだか判りません。
一般に「カムイ伝」といえば「カムイ伝(第一部)」のことを指します。1964年から1971年まで「月刊漫画ガロ」に全74回連載された作品で、単行本は下の6種類が発行されました。内容は全て同じです。


※1967年05月発行 ゴールデンコミックス「カムイ伝」全21巻 (小学館)
※1979年01月発行 旧小学館文庫「カムイ伝」全15巻 (小学館)
※1982年09月発行 小学館豪華愛蔵版「カムイ伝」全4巻 (小学館)
※1988年07月発行 小学館叢書「カムイ伝」全15巻 (小学館)
※1995年04月発行 小学館文庫「カムイ伝」全15巻 (小学館)
※2005年11月発行 ビッグコミックススペシャル「カムイ伝全集[第一部]」全15巻 (小学館)

次に「カムイ外伝」。これは1965年から1967年まで「週刊少年サンデー」に全20回連載された「カムイ外伝(第一部)」と、1982年から1987年まで「ビッグコミック」に全116回連載された「カムイ外伝第二部」からなっており、これらの全てが収録されている単行本には下の6種類があります。


※1976年04月発行 旧小学館文庫「カムイ外伝」全19巻 (小学館) ※「七ツ桶の岩」を併載
※1983年08月発行 ビッグコミックス「カムイ外伝」全20巻 (小学館)
※1994年05月発行 小学館叢書「カムイ外伝」全12巻 (小学館)
※1997年12月発行 小学館文庫「カムイ外伝」全12巻 (小学館)
※2006年12月発行 ビッグコミックススペシャル「カムイ伝全集[外伝]」全11巻 (小学館) ※「七ツ桶の岩」を併載
※2011年09月発行 My First BIG Special「カムイ外伝」全8巻 (小学館)

最後に「カムイ伝第二部」、これは1988年から2000年まで「ビッグコミック」に全168回連載されたものと、2006年発行の単行本「カムイ伝全集[第二部]」第12巻で発表されたラストの5枚からなります。よって単行本は3種類発行されていますが、唯一「カムイ伝全集[第二部]」全12巻にのみ最後までが収録されています。


※1989年10月発行 ゴールデンコミックス「カムイ伝[第二部]」全22巻 (小学館)※連載第161回まで
※1999年08月発行 ビッグコミックスワイド「カムイ伝[第二部]」全10巻 (小学館)※連載第143回まで
※2006年06月発行 ビッグコミックススペシャル「カムイ伝全集[第二部]」全12巻 (小学館)

このほかにシリーズに関連する作品として、「七ツ桶の岩」(1979年)と「カムイ外伝-再会-」(2009年)があります。
Q.絵が途中から変わっています。これは白土三平が原作だけを担当するようになったからでしょうか。
絵が変わってみえるのは、内容に合わせて白土先生自身が画風を変化してきたからです。白土作品は全て原作、構成、コマ割り、作画までを本人が一人でおこなっています。

1988年の「カムイ伝第二部」以降クレジットが「作・構成:白土三平 画:岡本鉄二」となったのは、そこで何か制作体制が変化したということではなく、 より細かい作画やペン入れを弟の岡本鉄二先生が担当したということをクレジット上表に出したからです。これは漫画業界では珍しいことです。 「この作品の絵は白土自身が描いていない」ということも良く耳にしますが、これはアシスタントを使用している全ての漫画家の作品(とくに週刊誌連載作品)に対して「本人が描いていない」と言っているのと同じことになります。

ただ白土先生が漫画という媒体の発展に与えた影響はあまりに大きいため、「作画」「細かい作画」という部分の境界というデリケートなことさえも研究対象になっているのも事実です。 その辺りの変遷については「赤目プロダクション」頁にも少し書いています。
Q.小学館文庫「カムイ外伝」第2巻の「雀落とし編」から「スガルの島編」で急に絵の感じが変わってしまっています。なぜなんですか?
「カムイ外伝」はもともと「カムイ伝」(1964年-1971年)連載中にその中の登場人物であるカムイだけを取り出し、読切短編作品として他誌に連載されたものです。ですがそれから16年後、また「カムイ外伝第二部」を描き始めたため、古いほうの「カムイ外伝」は「雀落し編」となって今は一緒の本に入っているのです。しかし一部の単行本(小学館叢書版小学館文庫版など)では「カムイ外伝第二部」が第二部・第三部と2つにわかれてしまっているのでまぎらわしいですね。雑誌連載時は最後まで「第二部」のままでした。簡単にいえば、

・雀落し編(第2巻途中まで)は、1965年から1967年発表(1965年から1966年執筆)作品
・それ以降(第二部・第三部)は、1982年から1987年発表(1981年から1986年執筆)作品

ということなのです。執筆時期が離れているため、絵柄が急に違ってみえるわけです。
Q.アニメ「忍風カムイ外伝」第21話から第26話の放送及び制作は1960年代末のはずです。なのに漫画本「カムイ外伝」での「スガルの島編」の作品制作年月日は1980年代となっています。アニメ制作時は原作の漫画は描かれておらず、脚本だけを提供したのでしょうか?
この頁に書いていますのでご参照ください。
Q.おすすめの白土作品を教えてください。
代表作 → 「カムイ伝」「カムイ外伝」「忍者武芸帳」「サスケ」「赤目」
上記以外の私的おすすめ作品 → 「ざしきわらし」「目無し」「変身」「ワタリ」「バッコス」

基本私が人に貸すのは、手軽な大きさの小学館文庫ですが、以下は例外。

「カムイ外伝」 → 旧小学館文庫版 : マイベスト単行本。印刷のかすれが少なく、この単行本まで旧写植。順番として第4巻の前に第6巻を貸します。
「バッコス」 → ビッグコミックス版 : 小学館豪華愛蔵版や小学館文庫版よりも流れがスムーズ(詳細)だから。
「赤目」 → ホームコミックス版 : 併載の「飛礫」とともに改変前の写植だから。
Q.白土作品を全て読みたいのですが。
以下、重複の無い一番効率的な方法です。

1.先ずは小学館文庫(全80冊)と、「カムイ伝全集[第二部]」全12巻を読む。

2.東京都永田町の公共施設「国立国会図書館」に行く。18歳以上が閲覧可・無料。
  → 雑誌「日の丸」の「熱血ネットくん」全5話(第2回目・第3回目は除く)を読む。
  → 雑誌「ビッグコミック」の「カムイ外伝-再会-」全3話を読む。

3.東京都上野の公共施設「国際子ども図書館」に行く。18歳以上が閲覧可・無料。
  → 雑誌「漫画王」の「富士のあばれん坊」を読む。
  → 雑誌「漫画王」の「霧の千丸」全6話(第2回目は除く)を読む。
  → 雑誌「小学六年生」の「少年剣士宮本武蔵」全3話(第1回目は除く)を読む。 ★2010年

4.東京都早稲田の私営「現代マンガ図書館」に行く。初めに6000円で会員になる必要があり、閲覧に1冊100円かかる。
  ・貸本「忍者無双」 → 「こがらし剣士」 ★2007年
  ・貸本「甲賀武芸帳」全8冊 → 「甲賀武芸帳」 ★2011年
  ・貸本「死霊」 → 「呪いの影」
  ・貸本「黄金色の花」 → 「黄金色の花」 ★2008年
  ・貸本「嵐の忍者」全3冊 → 「嵐の忍者」 ★2008年
  ・貸本「忍者街道1」 → 「忍者対決」「流星」 ★2007年
  ・貸本「忍者街道2」 → 「生ける死屍」「秘剣岩砕き」「地獄から来た少女」 ★2007年
  ・貸本「からすの子」 → 「からすの子」 ★1999年 ★2011年
  ・貸本「死神剣士1」 → 「死神剣士」 ★1972年 ★2008年
  ・貸本「消え行く少女」全2冊 → 「消え行く少女」 ★1999年 ★2009年
  ・貸本「仇討無惨帳」 → 「仇討無惨帳」「仇討無情」 ★2008年
  ・貸本「忍者旋風1号風の巻」 → 「くの一の術」「幻妖めくらまし蝶」 ★2010年
  ・貸本「忍者旋風2号炎の巻」 → 「猿飛誕生」「鳥人」「土左衛門」 ★2010年
  ・貸本「魔剣1」 → 「鬼(誕生の巻)」 ★2008年
  ・貸本「別冊忍者旋風」 → 「闇の斬剣」「なわぬけ」 ★2008年
  ・貸本「大上段絶命」 → 「狐塚」「いささか感ずるところ」 ★2008年
  ・貸本「ACTION HI GHWAY(アクションハイウェイ)」 → 「死刑執行」 ★2008年
  ・貸本「大旋風2号」 → 「雨を呼ぶ男」 ★2008年
  ・貸本「風の石丸」全3冊 → 「風の石丸」 ★2007年
  ・貸本「少年王者」全2冊 → 「少年王者」
  ・貸本「ハイスピード創刊号」 → 「仇」 ★2011年
  ・貸本「2年ね太郎」 → 「2年ねたろう」 ★2010年
※以上、会員費6000円(1年間有効)+閲覧料100円×35冊=計9500円
※「死神剣士」は国際子ども図書館所蔵の単行本「少年漫画劇場6」でも復刻版が閲覧可能。
※「風の石丸」は国立国会図書館所蔵の雑誌「週刊少年マガジン」でも雑誌版が全て閲覧可能。


…ここまでして読めていない作品は以下の3つのみ。
  ・「富士の天兵」 (付録本) ★2010年
  ・「殺生小屋」 (貸本「怪奇スリラー1号」に収録) ★2008年
  ・「狼煙」 (貸本「大旋風1号」に収録) ★2008年

…部分的に読めていない作品は以下の3つのみ。
  ・「霧の千丸」第2回目 (付録本は閲覧不可なため)
  ・「熱血ネットくん」第2回目・第3回目 (付録本は閲覧不可なため)
  ・「少年剣士宮本武蔵」第1回目 (国際子ども図書館にこの号が欠) ★2010年

★印は作品の復刻とその西暦。
Q.「小山春夫 赤目プロ」名義で発表された作品がどこにも載っていないようなのですが、なぜでしょうか?
「小山春夫 赤目プロ」名義作品は1970年から1973年まで短編長編あわせ約50作品ほどありますが、これらは小山春夫先生の単独作品ですので作品名までは細かく載せていません。

「赤目プロダクション」頁に少しだけ書いていますので参考にしてください。