少年王者
作品解題
※新連載扉頁

山川惣治の絵物語「少年王者」(1947年)の漫画化。1961年7月3日発売の「小学二年生」1961年8月号から1962年3月号、学年上がって「小学三年生」1962年4月号から1962年10月号に全15回連載された。 連載の前半7回分をまとめた貸本第1巻、以降の内容をまとめた貸本第2巻が東邦漫画出版社から発行されている。貸本では第3巻と第4巻も発行されたが、この2冊は白土ではなく別人が描き継いでいる。

貸本「少年王者」第1巻(1962年03月30日発行/東邦漫画出版社)
貸本「少年王者」第2巻(1962年10月20日発行/東邦漫画出版社)
貸本「少年王者」第3巻(1963年02月15日発行/東邦漫画出版社)
貸本「少年王者」第4巻(1963年04月30日発行/東邦漫画出版社)

白土はデビュー前に父親の絵描き仲間である金野新一のアトリエで、山川惣治の紙芝居量産の仕事手伝いをしていた経験を持つ。これは山川が金野の友人であったからだ。 発行当時ベストセラーとなった「少年王者」の漫画化は実は初めてではなく、以前にもわちさんぺい(1926年3月-1999年12月10日)によって「おもしろブック」1955年1・4・9月号の付録本「ジャングル冒険まんが・まんが少年王者」として漫画化されている。

私は原作の「少年王者」は角川文庫版第1巻(1984年1月10日発行)だけしか手元にないのでこれをもとに書くが、白土の連載第1回目の内容部分全16枚はこの文庫本の89頁分(P7-P90)にあたる。 白土の漫画版の内容は原作のままだが、構成を漫画用に少し変えている。また、原作にある「絵」の部分を漫画風に模写したコマも多く取り入れている。

※原作1枚目の絵(左)と、白土の新連載1コマ目(右)

動きのある動物描写が素晴らしいが、復刻の難しい作品であるのが残念だ。

※貸本第1巻P77とP87より