参考資料考
聴耳草紙

『聴耳草紙』佐々木喜善(1964年9月2日発行/筑摩叢書28/筑摩書房)

これは佐々木喜善(1886年10月-1933年9月)が1931年1月に三元社から発行、1933年6月に中外書房から新版を発行した同名書籍の復刻普及版である。この後1993年6月にちくま文庫で発行され、その絶版後の2010年にちくま学芸文庫で再発行された。

白土は4つの作品においてこれを参考資料に挙げている。
神話伝説シリーズ15『山女魚』(1979年) :小学館文庫『お仙』に収録
神話伝説シリーズ17『馬婿』(1980年) :小学館文庫『お仙』に収録
神話伝説シリーズ18『Tama』(1980年) :小学館文庫『ワタカ』に収録
神話伝説シリーズ19『狼石』(1980年) :小学館文庫『お仙』に収録


『山女魚』は第102番「鰻の旅僧(その一)」を元としている。直前に描かれた神話伝説シリーズ14『羊飼いトリア』の参考資料『インド伝承民話集』の影響もあるようで、旅僧を若い娘に、赤飯をザクロ石に変えている。裸で温め蘇生させる部分も『カムイ外伝 第二部』スガルの島編に先立ち使用している。話の中ではおそらく粉にした山椒の木皮を川に流す方法だろうが、『山女魚』ではこれを農薬に変えている。山椒皮や農薬などを流し獲ることは現在禁止であるが、一時期とても広がっていた手法であった。『馬婿』は第115番「オシラ神」を元としている。この話は有名なもの(「捜神記」など元々は中国に由来する話)で、かつて喜善からこの話を聞いた柳田国男も『遠野物語』(1910年出版)に取り入れている(69「オシラサマ」)。

『Tama』の元となる話は見付けられていない(というか無い)。その感性の繊細さゆえ夭折した白土の長男・岡本創一(天才フラメンコギタリスト)の影響と、現代を舞台においているため、原話・原型はほとんど留めていないと思われる。推測の域を出ないが、もしそれ(原話が存在しないが原話の存在を主張していること)が白土の意図としてのことであるのなら、登場人物である白土と、息子の分身としての遠野(語りの地遠野)、それを同時に登場させていることに別の大きな感情が存在するのかもしれない。『狼石』は第92番「狼石」を漫画化したものだ。作品最後の語りの部分までも忠実に、記録者の喜善を登場させビジュアル化している。白土の画く似顔絵は大変ユニークである。執筆篭もりのボサボサ頭、喜善にも見えるし岡本唐貴にもよく似ている。

第32番「箕の輪曲」は白土作品『山父』(1963年)作中で和尚の話す話に似ている。第73番「猿の聟(猿の婿)」は白土作品『カムイ外伝』第11話「下人」でカムイが子供達に話し聞かせている物語である。話の後の解説では嫁の名は「お藤」というのが一般的だと書いてある(話中では「お文」である)。「下人」での嫁の名は「おふじ」であるので、白土はその一般的な「お藤」での話を元にしているのだろう。

『聴耳草紙』に収録されているこれら昔話の断片にはとても想像力を掻き立てられる。これを組み替えた柳田國男の『遠野物語』はまた違う意味で面白く、まるで山本周五郎の『青べか物語』のように土地の臭い、空気までも読者に直接押し付けてくるようなものになっている。折口信夫の『死者の書』までいくと感性の面が増し大分難しくなるけれども。『遠野物語』60より「こちらを向きて何ともなげなる顔してあり。さて引き金を引きたれども火移らず。胸騒ぎして銃を検せしに、筒口より手元の処までいつの間にかことごとく土をつめてありたり」、ここから不意に『カムイ外伝』第1話冒頭の描写が浮かぶ。


以降は筑摩叢書『聴耳草紙』の目次およびあらすじ。

序 - 柳田国男(P1-P3)
凡例 - 佐々木喜善(P5-P6)

第1番 聴耳草紙(P15-P17):狐を助けた爺が恩返しに獣の言葉を理解できる聴耳草紙を貰い、幸せになる話
第2番 観音の申子(P17-P19):齢60の夫婦に観音様が子供を授け、その子が長者の婿になり、幸せになる話
第3番 田螺長者(P19-P24):齢40の夫婦に生まれたタニシの子が嫁を貰い、嫁の参詣によって人間になる話
第4番 蕪焼笹四郎(P24-P26):カブ好き笹四郎は女房を殿様に奪われるが、友人の機転で殿様と入れ代わる話
第5番 尾張中納言(P26-P27):絵に描かれた美女を探し日本中を旅した男が、尾張の城に忍び中納言になる話
第6番 一目千両(P27-P28):奥州の男が江戸に出、お盆で得た三千両を元に美しい女房を得、帰郷する話
第7番 炭焼長者(P28-P29):隣同士の者が夫婦になった、夫に追い出された妻は自身の運で爺と長者になる話
第8番 山神の相談(P29-P30):六部は山神の会話を聞き、七年後、その話が現実となったところに遭遇する話
第9番 黄金の臼(P30-P32):鴻ノ池の主のお遣いをした孫四郎は金の出る臼を貰うが、女房の欲で臼を失う話
第10番 尽きぬ銭緡(P32-P34):黒沼から赤沼へのお遣いをし善平は長者となるが、感謝を怠けた子孫で潰える話

第11番 天人子(P34-P36):水浴をする天女の着物を惣助が殿様に献上、マンダラを織り終えた天女は天に帰る話
第12番 兄弟淵(P36-P37):腹帯の淵の主のお遣いで娘は御行の淵の主に喰われに行くが、旅人の機転で助かる話
第13番 上下の河童(P37):河童のお遣いを正直に遂行した男が、正直ゆえ喰われずに宝物を貰い長者になる話
第14番 淵の主と山伏(P37-P38):琴ヶ滝と琵琶ヶ滝の男女の主の逢瀬を人々に洩らした山伏が石にされる話
第15番 黄金の牛(P38-P39):正直者のウソトキが名前を呼ばれ、坑口から出た瞬間坑が崩れ一人だけ助かる話
第16番 瓢箪の話
     01 瓢箪の始まり(P39-P40):口減らしに末子を殺し、埋めた所から生えた草の実を売り生計を立てた話
     02 瓢箪長者(P40-P41):末息子の歌をうたう瓢箪を隣の長者が欲しがり、身代と交換に長者となる話
     03 瓢箪踊り(P41):正直者の息子が踊りをおどる瓢箪を川淵で拾い、それを見世物にして長者になる話
     04 本なり瓢箪(P42):父親に各々瓢箪を貰った三兄弟、一番重いものを貰った長男が家督を継ぐ話
     05 粉南蕃売り(P42):唐辛子売りが瓢箪で藁を打った草鞋を履き熊野詣り、その草鞋が丈夫だった話
     06 瓢箪の質物(P42-P43):質屋の婆が、金の瓢箪と嘘を言われ貸した百両を博打打ちから取り戻す話
     07 宝瓢箪(P43):何でも好きなものの出る宝瓢箪を天狗から機転により奪った博打打ちが長者になる話
第17番 打出の小槌(P43-P45):嫁により山に棄てられた婆が鬼に貰った小槌で金持ちになる、真似た嫁は死ぬ話
第18番 蜂聟(P45):蜂を助けた下男が、その蜂に大石は渋紙だと教えてもらったことで、長者の花婿になる話
第19番 蜂のおかげ(P46-P47):婿になりたい男は藁を交換を続けて千両にし、蜂の助けでそれを成就させる話
第20番 親譲りの皮袋(P47-P49):母親に皮袋を貰った孝行息子が、袋の不思議な力で長者の娘の婿になる話

第21番 黄金の鉈(P49-P50):鉈を淵に落とした爺が淵の女の問いに正直に答え、金の鉈と古鉈の両方を貰う話
第22番 黄金の壺(P50):隣人は壺の中の蛇を爺の家の上から撒いたが、天降ったそれは大判小判になった話
第23番 樵夫の殿様(P51-P52):山で穴を見つけ、そこの村人の娘の身替りに生贄に向かい怪物を退治する話
第24番 窟の女(P52-P54):穴で三日間遊んだ男、妻子が気になり村に帰ると何十年も経っていた、という夢の話
第25番 三人の大力男(P54-P56):力太郎が石子太郎と御堂太郎を子分にし、村娘を食べる化物を退治する話
第26番 夢見息子(P56-P59):海底の竜宮に行き、身替りに生贄となり怪物を退治し殿様になる、という夢の話
第27番 鬼婆と小僧(P60-P61):小僧は和尚の守り札により鬼婆から逃れ、和尚は鬼婆を豆にし食ってしまう話
第28番 姉のはからい(P61-P63):弟は姉を取り戻すために鬼の館に向かい、姉の一計で鬼の首を落とし帰る話
第29番 鬼の豆(P63-P64):鬼の妻にされている姉の元に向かい、姉の一計で鬼を殺し宝物を持って家に帰る話
第30番 山男と牛方(P64-P66):山男から逃げた牛方は船矧の舟に匿われ、代わりに逃げた船矧が山男を倒す話

第31番 臼掘と舟掘(P66):山男から逃げた臼掘りが舟掘りの舟に匿われ、代わりに舟掘りが食われそうになる話
第32番 箕の輪曲(P66-P67):山奥で火にあたる彦太郎の心を山姥が当てる、箕の輪が弾け灰が山姥にかかる話
第33番 カンジキツクリ(P67):カンジキを作る五右衛門の横でムジナが睾丸を広げるので、それを打ち殺す話
第34番 大工と鬼六(P67-P68):大工は鬼に橋を架けてもらうが、眼玉を取られる代わりに鬼の名を呼び助かる話
第35番 ライ病(P68-P69):観音堂作りの間、人間として工匠に弟子入りした木切れからライ病が出来たという話
第36番 油採り(P69-P71):人油を採られ殺されると知り逃げた男が、ついに見付かり引きずり落とされる夢の話
第37番 よい夢(P71-P72):童が睾丸を叩くと鬼達は笑い海の水を吐き出す、童は生物を生き返らせる針を貰う話
第38番 嬰児子太郎(P72-P74):嘘つき過ぎて海に流された嬰児子太郎が、生物を生き返らせる針で出世する話
第39番 馬喰八十八(P74-P80):八十八は長者を何度もだまして怒りを買うが、ついに長者を殺して長者になる話
第40番 鳩提灯(P80-P81):貧乏熊吉は長者の娘の婿になるために、氏神の真似をして長者をだまし婿になる話

第41番 悪い寡婦(P81):若者と寡婦は女の死体を化粧し酒屋の前に置きだまし、嫁を殺したと騒いで百両取る話
第42番 夜稼ぐ聟(P82):舅と婿が女の死体をお宮に運び、娘が死んだと言う嘘で殿様の同情を買い、金を貰う話
第43番 偽八卦(P82-P84):殿様の千両箱を盗んだ家来の言う通りにした嘘八卦が、合計二千両を貰って帰る話
第44番 御箆大明神(P84-P87):朱面で撫ぜると音が鳴り、黒面で撫ぜると音の止まるヘラをホラ吹きが使う話
第45番 南部の生倦と秋田のブンバイ(P87-P88):生倦は剣の名人ブンバイに燃え木を投げ殺すが、自分も死ぬ話
第46番 島の坊(P88-P90):悪戯された大入道は怒り町で暴れ回るがついに殺される、それが漁夫の神となった話
第47番 旗屋の鵺(P90-P93):狩人は小蛇や巨大化する虫に翻弄されるが大蛇や白鹿を仕留める、大鹿を追った話
第48番 トンゾウ(P93-P94):マタギの佐平はトンゾウを二度見た後に病気で死んだ、飛ぶ化物らしいという話
第49番 呼び声(P94-P95):右源太の目の前を行灯に似た火塊が飛んでいく、今度は化物の呼ぶ声、大声がした話
第50番 糸積み女(P95):山中ニヤリニヤリと笑う女は小作が桶を撃つと消えた、翌朝そこに古狸が死んでいた話

第51番 荒滝の話(P96):荒滝という力士がいたが、横綱の秀之山に撫でられた後、病気になり死んでしまった話
第52番 扇の歌(P96-P98):姫から扇を貰った若者はそこに書かれた歌を頼りに姫を探し、婿になる話(2に類似)
第53番 蛇の嫁子
     01 その一(P98-P101):蛇の元を逃れ、蛙の服で婆に化けた三女が長者の息子の嫁になる話(2に類似)
     02 そのニ(P101-P102):蛇は田に雨を降らせた代わりに娘を貰って帰るが、娘の一計に疲労し死ぬ話
第54番 蛇の聟
     01 その一(P102-P103):若者に化け毎夜娘の元に通った大蛇が、娘に腹の子供を大事にと言い死ぬ話
     02 そのニ(P103):両親の留守の間、娘を侍が訪ねてきた、その時袴に刺した針により大蛇が死ぬ話
     03 その三(P103-P104):夫の留守のうちに女房の元に毎晩美男が通って来る、針を刺すと蛇であった話
     04 その四(P104):毎晩娘の部屋に通う美男にキビ団子を食わせ、蛇に戻ったのを父親が切り裂き殺す話
第55番 蛇息子(P105):長者に殺された蛇がその三人の息子となって生まれるが、二十歳で三人とも死に悲しむ話
第56番 母の眼玉(P106-P108):女に化けた大蛇との子を、男はその眼玉で育てあげ、子は盲目の母に孝行する話
第57番 つかずの臼(P108):和尚が寺の主の安産のために臼挽きを控え、お礼に竜の玉、竜の爪、帷子を貰う話
第58番 お仙ヶ淵(P108-P109):幼児を残し突然出て行った妻お仙が、少しずつ蛇に姿を変え、淵の主になる話
第59番 蛇ノ島弁天(P109-P110):再開を約束した男に娘は毎日逢おうと通うが逢えずに凍死、赤い小蛇となる話
第60番 お菊の水(P110-P111):命乞いをする孕みの猿を撃ち殺した猟師の子お菊が大蛇であり雷神に殺される話

第61番 雪姫(P111-P112):身代わりに生贄となった雪姫がお経を唱え、大蛇を元の女に戻し母と幸せに暮らす話
第62番 蛇女退治(P113-P115):化物退治に向かう太郎と次郎は殺され、三郎が大蛇を退治し殿様に褒美を貰う話
第63番 蛇の剣
     01 その一(P115):石の上に太刀を忘れ従僕に取りに行かせるが大蛇だというので行くと太刀だった話
     02 そのニ(P115):侍は名刀村正を枕に昼寝していたが、赤い大蛇を枕にしていると村人に騒がれた話
     03 その三(P115):月山は家宝の名刀月山ゲッサンを質に入れるが、夜分蛇になって家に戻ってきた話
第64番 野槌(P116):胴だけの蛇と頭だけの蛇がいる場所、知らず喜代人が頭だけの蛇を見たあとに病気で死ぬ話
第65番 蛇と茅と蕨(P116-P117):チガヤの芽に貫かれ動けなくなった蛇が、ワラビの芽に持ち上げられ助かる話
第66番 上の爺と下の爺(P117-P119):下の爺の犬もコメの木も灰も、それを借りた上の爺には悪い事をもたらす話
第67番 コブ取り爺々
     01 その一(P119-P121):一方の爺は天狗の前で舞いコブを取って貰うが、一方の爺はコブ二つにされる話
     02 そのニ(P121-P122):鬼の前で舞いコブを取られた爺、羨ましがった隣の爺はコブ二つにされる話
第68番 鼠の相撲(P122-P123):自分の家の鼠と長者の家の鼠が相撲を取るのを見た貧乏爺が鼠に餅を食わせる話
第69番 豆子噺
     01 その一(P123-P127):豆を追い鼠の穴に入った爺は金を持って出てくる、真似た隣の爺は失敗する話
     02 そのニ(P127-P128):豆を追いかけた婆は鬼の金を手に入れる、真似をした隣の婆は失敗する話
     03 その三(P128-P130):豆を追いかけ節穴に入った爺は童を連れ帰る、十年育てた爺婆は長者になる話
第70番 地蔵譚
     01 石地蔵の笠(P130):爺は雨の中の地蔵に笠を被せる、恩返しで鶏の真似をし金を得る話(69-1に類似)
     02 地蔵の木曳(P130-P131):爺は雪の中の地蔵達に頭巾を被せる、その夜地蔵達が恩返しにやってくる話
     03 糠餅と地蔵(P131-P132):餅を食べ感謝された地蔵は爺に金を与える、真似をした隣の爺は失敗する話
     04 地蔵の酒(P132-P133):隣の爺の家の留守番を頼まれた婆が地蔵の出す酒を呑み、地蔵の鼻を欠く話
     05 黄金をひる地蔵(P133):婆は尻穴から金粒を落とす地蔵の尻穴を火箸で広げた、地蔵は飛んで去った話

第71番 猿と爺地蔵
     01 その一(P133-P135):爺は餅を体に塗り地蔵に化け猿から千両箱を得る、真似した隣の爺は失敗する話
     02 猿皮売り(P135-P136):地蔵に化けた爺が猿に命令し作らせた袋に入れ、一匹ずつ殺して町で売る話
第72番 猿になった長者(P136):貧乏人が十五夜に団子を上げる、翌朝隣の長者が猿になっていたので、入替る話
第73番 猿の聟(P136-P139):爺は約束通り猿の嫁に娘をやる、里帰りの日、妻に騙された猿は川を流れていく話
第74番 猿の餅つき
     01 その一(P140):蛙から餅を盗んで逃げた猿は、餅を取り返した蛙に餅を投げられ顔が赤くなった話
     02 猿と蟹(P140-P141):餅を持って逃げた猿は、餅を取り返した蟹に餅を投げられ顔が赤くなった話
第75番 ココウ次郎(P141):爺は池の蟹をココウ次郎と呼び可愛がっていた、婆はその蟹を呼び全部食べてしまう話
第76番 蛙と馬喰(P141-P142):蛙は途中二本足で歩き出したが、眼が後ろを向いたことで元の道を戻っていった話
第77番 蛙と田螺(P142-P143):蛇に襲われた蛙を助けるために田螺が蛇を退治する、今でも蛙と田螺は仲良しな話
第78番 田螺と野老(P143):オニドコロが田螺を歌で馬鹿にしたところ、田螺に脅かされて土の中に潜り込んだ話
第79番 田螺と狐(P144-P145):狐と田螺の競争、田螺は狐の尾に付き、休むと離れてとっくに来ていた振りをする話
第80番 獺(カワウソ)と狐
     01 その一(P145-P146):魚を獲ろうと狐は尾を川につけ、水面が凍ったため抜けず、叩き殺される話
     02 そのニ(P146-P147):魚を獲ろうと狐は尾を川につけ、水面が凍ったため抜けず、尾の皮が剥げる話
     03 その三(P147-P148):魚を獲ろうと狐は尾を川につけ、水面が凍ったため抜けず、叩き殺される話

第81番 若水(P148-P149):貧乏な若松は狐を助ける、元旦の朝、米が無いので大鍋に水を炊くと飯になった話
第82番 狐の報恩(P149-P151):爺に命を助けられた狐が、釜、美しい娘、立派な青馬に化けて恩返しをする話
第83番 狐と獅子(P152):唐で虎と獅子との勝負に勝った狐が、獅子の首を日本に持って帰る話(79に一部類似)
第84番 盲坊と狐(P152-P154):盲坊が白布の袋と油揚げ鼠を使い、悪い狐達を捕まえ、それを村人達が殺す話
第85番 狐の話
     01 隠れ頭巾(P154-P155):爺は狐に姿の消える(と偽った)頭巾を貰い盗みをするが、ひどい目にあう話
     02 駈け馬(P155-P156):狐に騙されまいとした侍は荒馬に驚き飯を落とす、馬は狐に戻りそれを食べ去る話
     03 羽沢のお菊(P156-P157):狐に騙され偽の菊を摘んで帰ってきた爺、婆は油揚げに集る狐を追い払う話
     04 死人の番(P157-P158):狐を脅かした帰途、日が暮れ白髪の婆の家に宿すると死人に追いかけられる話
     05 幽霊(P158-P159):妹の葬式の帰り、妹の泣声が近づいて来る、家に帰ると壁から無数の手がでる話
     06 白い雀(P159):近づくと逃げる白い雀を捕まえようと背負う荷を降ろしたところ、それを狐に盗られる話
     07 魚みやげ(P159):柳田某が酔って帰り、迎えに来た女に荷を預けるが、次の日そんな事実はなかった話
     08 ランプ売り(P159-P160):ランプのホヤ売りが、道で眠る狐を殴るが、気付くと自分の商売道具だった話
     09 闇(P160):野田某、川魚釣りの帰り、急に暗くなったので魚を藪に投げるとすぐ元の昼間になった話
     10 湧水(P160):酒を呑んだ帰り、湧水がだんだん増え湖のようになって溺れたが、溜池に落ちていた話
     11 女客(P160):道で美しい女と出会い自分の馬に乗せる、荷の魚と共に馬上の女はいなくなっていた話
     12 飼犬(P161):男沢君、飼犬が走ってきてジャレてくるので頭を松の木にぶつける、犬は狐になり去る話
     13 紙幣(P161):武田君、親父に十円札を貰い、牛肉を買うが、しっかり握っていたそれは木の葉だった話
     14 ハクラク(P161):ある家畜医は狐を馬鹿にしたが、川に入りもがいているとそれが家の藁であった話
     15 放し馬(P161-P162):女に化けた狐の後をつけ大きな家に入ると馬に蹴られた、家が実は馬だった話
     16 塩ペン(P162-P163):狐に騙され半日グルグル廻されていた爺が、次の日狐の口に塩を入れ復讐する話
     17 塩ペン(P163):いつも狐に騙されるので塩をつかみ待つと婆に化けた狐が来たので口に塩を入れる話
     18 狐の忠臣蔵(P163):塩引き魚を持って狐の芝居を見ていた、帰ろうとしたが頭に乗った狐に盗られる話
     19 狐の家(P163-P164):狐に付いて行き、ひどく立派な家の風呂に入った男が畑中の肥桶に入っていた話
     20 狐が騙された話(P164):娘に化けた狐に、爺は自分の化けっぷりにはかなわないなと逆に狐を騙す話
第86番 兎の仇討(P164-P167):狸に婆を殺され食わされた爺は兎に仇討ちを頼み狸を懲らしめる話(カチカチ山)
第87番 兎と熊(P167-P170):悪い兎は熊を土舟に乗せ殺す、今度は人を騙すが包丁を投げられ尾が無くなる話
第88番 狢(ムジナ)の話
     01 狢の頓智(P171):狢に父の睾丸の大きさを伝えようと狢を押えている両手を離し狢を逃がした話
     02 狢の悪戯(P171-P172):ガマ蛙の屍骸を臭い思いをして道の横を通ったが帰りは無くなっていた話
第89番 狸(タヌキ)の話
     01 狸の旦那(P172):旦那が膳を食い散らかす、それは古狸であり、後から本当の旦那が帰ってきた話
     02 狸の女(P172-P173):爺は女を獣だと察知し叩いた、それは首乗りになった二匹の狸であった話
第90番 爺と婆の振舞(P174):爺が魚をたくさん買ってきた晩に娘や孫が大勢来た、爺と婆は喜んで笑った話

第91番 狼と泣児(P174):母は子にそんなに泣くと狼に食わせると言い、外の狼は喜んだが泣声は止み落胆した話
第92番 狼石(P174-P176):母娘を助けなかった和尚は狼に殺され、娘に救われた村人は旅人に親切になった話
第93番 古屋の漏
     01 その一(P176-P179):泥棒と狼は雨漏という化物を怖がり逃げる、虎も怖がり日本から脱出する話
     02 そのニ(P179):雨漏が一番怖いという爺と婆と娘の話を聞いていた虎は怖がり日本から脱出する話
     03 その三(P179-P180):雨漏が一番怖いという爺婆の話を聞いた虎は馬の背に乗って逃げ、隠れる話
第94番 虎猫と和尚(P180-P182):和尚に恩を返したい猫は、長者の娘の棺を宙に浮かせ和尚に解決させる話
第95番 猫の嫁子(P182-P183):長者の元を追い出された猫が、世話になった貧乏百姓への恩返しに人間になる話
第96番 怪猫の話
     01 その一(P183-P184):猫達の話を聞いた男が侍を家に連れ、祖母に入れ替わっていた飼猫を殺す話
     02 そのニ(P184-P185):狩人は山で一つ目の怪物に出会う、撃ち倒すと釜の蓋をくわえた猫だった話
     03 その三(P185):猫から口止めされたことを旦那に話した妻が、次の日喉を食い破られ死んでいた話
     04 その四(P185-P186):猫から口止めされたことを旦那に話した婆が、喉を食い破られ死んでいた話
     05 その五(P186):手拭いを持って家を出る飼猫を不振に思いついていくと、狐と一緒に踊っていた話
     06 その六(P186):魚を盗んで太郎に殴られた猫、人に傷の理由を訊ねられた猫は太郎だと答えた話
     07 その七(P186):浄瑠璃を聴く人達が、旅人から墓場で拾った杖を借り聴くと老猫の鳴声であった話
     08 その八(P186):新田某の飼猫は、浄瑠璃や師走の寺の鐘の音の真似が得意で、人々を驚かせた話
     09 その九(P187):人語を話した飼猫を気味悪がって殺し埋めた処から出たカボチャを食べて苦しむ話
第97番 鮭の翁(P187):娘を大鷲がつかみ、落ちた淵の老翁は家まで送る、老翁は鮭の大助で娘と夫婦になる話
第98番 鮭の大助(P188):鷲につかまれ玄海灘の孤島に落とされた主人が、鮭の大助の背に乗り故郷に帰る話
第99番 鮭魚のとおてむ(P189-P190):大鮭に救われた男は川争い鎮静の為自害、鮭が子孫のトーテムとなった話
第100番 鱈男(P190):お姫様の元に毎夜通う美男、侍女が怪しんで小豆飯を食わせると男は死に、タラだった話

第101番 鰻男(P191):娘の元に通う鰻男、両親が軒下から聞いた話の通りの薬草を娘に飲ませ、何事も無かった話
第102番 鰻の旅僧
     01 その一(P191-P192):魚を獲ろうとする若者達を止める旅僧、それは沼の主の鰻だったと気がつく話
     02 そのニ(P192-P193):和野の長者が旅僧に汚い飯を与える、一年後門前の池は涸れ、貧乏になる話
第103番 魚の女房(P193-P194):妻の美味い味噌汁は妻が尻をつけ作ったものだった、恩返しに来た魚は去る話
第104番 瓜子姫子
     01 その一(P194-P196):本物の瓜子姫子は山母に殺され、鶏や烏の声に気付いた爺婆は山母を殺す話
     02 そのニ(P196-P197):瓜子姫子の機織の音が違うと気付いた爺婆は、化けたアマノジャクを殺す話
     03 その三(P197-P198):機を織っていると強引に入ってきた隣の娘、山婆になって瓜子姫子を殺す話
     04 その四(P198-P199):殺された姫子の左の手がウグイスになって知らせ、アマノジャクは殺される話
     05 その五(P199-P200):アマノジャクの背に乗り出たオリヒメ子は殺される、爺に顔がばれ山に逃げる話
     06 その六(P200-P201):瓜子ノ姫子は狼に殺され、娘に化けた狼は帰ってきた爺婆にそれを食わせる話
     07 その七(P201-P203):瓜子姫は天ノ邪鬼に食われる、長者の嫁に行ったが化けの皮がはがれ逃げる話
第105番 糞が綾錦(P203):山母は頭にある大口から握飯を食うと糞を垂れた、娘が糞を川で洗うと綾錦になった話
第106番 女房の首(P203-P205):留守番をしていたおつなは婆に食べられる、残された首が逃げる夫を追う話
第107番 赤子の手(P205):山婆に懐妊の女房を殺された夫は、転がっていた赤子の左手に気がつき、山婆を殺す話
第108番 オイセとチョウセイ(P205-P207):姉と母は夢の通り水を飲み元気になる、弟は長者の娘を嫁に帰る話
第109番 墓娘(P207-P208):勘当された息子が、墓で生き返った長者の娘を拾い、番頭と継母を討ち婿になる話
第110番 生返った男(P208-P209):生き返った息子の記憶は、他の村で死んだ男のもので、両家は親類になる話

第111番 お月お星譚(P209-P213):お星は姉のお月を悪い母から助ける、姉妹は死んだ後、空の月と星になる話
第112番 雌鶏になった女(P213-P214):女は家の妻に見るなといわれた十三番目の座敷を見てしまい雌鶏になる話
第113番 雉子娘(P214-P215):毎夜外に出るこさんを怪しんで婿が後をつけると、墓を暴いて死体を食べていた話
第114番 鳥の譚
     01 鳩(P215-P216):飢饉の年、子供は粉煎を父に届けず遊び、父は餓死する、子供はハトになり啼く話
     02 雀(P216):スズメは昔人間の娘で、祭礼の途中で親の臨終を聞き死に目に駈けつける孝行をした話
     03 燕(P216):ツバメは昔人間の娘で、祭礼の途中で親の臨終を聞いたが親の元へ行かなかったという話
     04 啄木鳥(P216-P217):なかなか親の葬式に顔を出さない娘はキツツキになった、親の罰で罪な鳥な話
     05 長尾鳥(P217):オナガドリは雨模様の日に、明日は雨が降る、雨が降ると親の墓が流れる、と鳴く話
     06 夫鳥(P217):若夫婦が山で別れ、若妻は夫の死体を見つけて、オットウと泣きオットウ鳥になった話
     07 鉦打鳥と地獄鳥(P218-P219):継母の死水をとった姉は鉦打鳥になり、実の娘の妹は地獄鳥になる話
     08 郭公鳥と時鳥(P219-P220):妹は姉の腹を割り後悔する、姉はカッコウに、妹はホトトギスになる話
     09 馬追い鳥(P220):山で一頭の馬を見失った馬飼の童は馬を呼んで歩き、そしてアオバトになった話
     10 雲雀(P220):ヒバリはお日様の下女であった、アリガタイと言い天に上り、糞食と言い降りてくる話
     11 鴉と鳶(P220-P221):トビは他の鳥の衣装の染方に忙しく、カラスは真黒に染める、カラスは怒る話
     12 葦切鳥(P221):草鞋が無いのを理由に侍に斬られた女中、川原で淫ら事をする娘がヨシキリになる話
     13 川熊と鷹(P221-P222):川熊が猪を獲ったのをみて、欲の深いタカは二頭獲ろうと思い失敗する話
     14 ミソサザイ(P222-P223):ミソサザイは猪の耳に入り仕留めた、荒鷲は鹿を二頭獲ろうと失敗する話
第115番 オシラ神(P223-P224):馬と夫婦になった娘に怒った爺は馬を殺す、馬の生皮と去った娘に蚕を教わる話
第116番 髪長海女(P224):生まれながらに髪が八寸伸びていた娘は帝の命令で京に連れて行かれ海女神になる話
第117番 母也明神(P224-P226):婿を堰口の留に入れようとした巫女婆は、娘の入水で後悔し自分も入水する話
第118番 長須太マンコ(P226-P228):馬喰は殺される、悲しみのマンコは童子を産み、十三年目に我が子に会う話
第119番 オベン女(P228):橋野村のオベンは沢川で黄金を見つけるが、独り占めしようとした悪者に殺される話
第120番 泥棒神(P228-P229):若者が唄う人形を拾い泥棒したくなった、人形を棄てると元の正直な男に戻った話

第121番 天狗(P229-P230):天狗といわれる男は月の半分はどこかへ行っていて、知らぬ間に帰って来ている話
第122番 端午と七夕(P230-P231):悪い男に騙され身を投げた妻を夫は食べ節句となり、筋を食べ七夕になった話
第123番 二度咲く野菊(P231-P232):野菊は屁をし殿様に追放される、数年後殿様は我子に謝り野菊は再び戻る話
第124番 厩尻の人柱(P232-P233):娘の代わりに巡礼の娘を川底に埋めその母は身を投げ立派な堤防ができた話
第125番 駒形神の由来(P233):目鼻耳口の無い赤い頭巾を被せたものを持ち生まれたため妻が出来ない旅人の話
第126番 ワセトチの話
     01 隠れ里(P233):橋野川を神様が石の舟に乗って下った、ワセトチが気に入り側の洞窟に入った話
     02 平家の高鍋(P234):源氏は鍋を低くして炊いたが、平家は鍋を高くして薪を焚いたので戦に勝った話
     03 ならずの柿(P234):源平の戦いの屍を埋め、柿の木を植えたところ、死霊のために実を結ばない話
     04 盲の親子(P234):盲目夫婦が橋を渡り、夫の丹蔵が橋から落ちる、妻も身投げしメクラ神になった話
第127番 土喰婆(P234):戦争に行った息子を何年も待つ婆は土を食って生きていた、それをバクチと呼び祀った話
第128番 赤子石(P235):姑は地蔵に願掛けて嫁は流産した、姑は赤子に似た赤石を産んだ、それは長松寺にある話
第129番 変り米の話(P235):附馬村の百姓が隣村のモチ米の苗を盗み植えた、願掛したところうるち米が出来た話
第130番 酸漿(P236):旅人がホオズキの実を取り鳴らしていたが、お日様の赤ん坊を取ったと顔色を変えられる話

第131番 あさみずの里(P236-P237):山奥に五六件の村屋があり、そこでは旅人を夜のうちに殺し金品を奪った話
第132番 隠れ里(P237-P241):館には馬もいて炭火が燃えている、人が一人もいない不気味さに逃げた話(全4話)
第133番 神様と二人の爺々(P241):信心深い爺が隣の爺を無理やり連れ参拝、隣の爺は神様に大判小判を貰う話
第134番 神と小便(P242):客が神に失礼だと馬の小便をとめるので、困った馬子は客のハゲ頭に小便をさせる話
第135番 老人棄場(P242-P243):野に棄てず老父を隠れ養う息子は、父の知恵を借り殿様との知恵比べに勝つ話
第136番 人間と蛇と狐(P243-P244):医者が人間と蛇と狐を助ける、人間に妬まれた医者は蛇と狐に助けられる話
第137番 竜神の伝授(P244-P245):竜神に貰った霊薬を妻が割る、そこに生えた蓬で病気を治し今の灸になった話
第138番 狢堂(P245-P246):無尽和尚は無人寺に向かい、そこで寝ている大きなムジナ、その幻に勝ち退治する話
第139番 座頭ノ坊になった男(P246-P247):目玉を逆に入れた男は医者に、トチノミを入れた隣人は座頭になった話
第140番 座頭ノ坊が狢の宿かり(P247):座頭ノ坊が一軒家を見つけ泊めてもらったが、宿はムジナの睾丸だった話

第141番 座頭の夜語(P247-P248):座頭を泊め珍しい話を聴こうと近所の人達を集め餅をご馳走するが語らない話
第142番 坊様と摺臼(P249):座頭が宿語りをし娘を嫁に貰う、娘が橋から臼を落とすと、座頭も飛び込み流れる話
第143番 雷神の手伝(P249-P250):桃の木に登り天に登った男は雷様に会う、うっかり落ち桑の木に引っかかる話
第144番 物知らず親子と盗人(P250-P251):正直な親子が隣の和尚に教わったことを唱えていると泥棒が逃げた話
第145番 五徳と犬の脚
     01 その一(P251):天神様は五徳から脚一本取って犬に付ける、犬は有り難がり脚を上げて小便する話
     02 そのニ(P251-P252):弘法大師は五徳から脚を取って犬に付ける、犬は有り難い脚を上げ小便する話
第146番 大岡裁判譚
     01 愛宕様(P252):嫁と姑がアタゴサマは馬に乗る神かどうかで争い、両人大岡様に袖の下を渡す話
     02 提灯と火チン(P252-P253):嫁と姑が提灯か火チンかどうかで争い、両人大岡様に袖の下を渡す話
     03 馬鹿(P253):嫁と姑が馬か鹿かで争い、両人大岡様に袖の下を渡すが、大岡様は馬鹿と答える話
第147番 雁々弥三郎(P253):弥三郎は雁達にさらわれる、母が悲しみ野原で叫ぶと雁がそっこりと落として行く話
第148番 新八と五平(P253-P254):酒を注ぐがシンパシンパと音を出し、ゴヘゴヘッとなった頃に酒はもう無い話
第149番 生命の洗濯(P254):明日死ぬと言われた三人、覚悟した一人は死に相撲芝居に行った二人は死なない話
第150番 鰐鮫と医者坊主(P254-P255):鰐鮫に呑まれた医者坊主ゲンナは苦い薬を腹の中に塗り吐き出される話

第151番 蒟蒻と豆腐(P255-P256):豆腐は落ちて怪我をし、蒟蒻は毎晩コンヤクウ言われ生きた心地がしない話
第152番 傘の絵(P256):物好きな長者は、掛物の絵の女が雨の日には傘をさすと言われ百両で買い騙される話
第153番 富士山の歌(P257):日本の歌詠みが秀歌を詠んだ、唐人はそれを飜読した、チントキンポロといった話
第154番 目腐 白雲 虱たかり(P257-P258):三人が痒い所を掻かない我慢をするが、話の動作と見せかけ掻く話
第155番 姉妹の病気(P258-P259):六部の爺に前の物に臭いが付き腐ると言われた姉妹が、また婿達と暮らす話
第156番 鼻と寄せ太鼓(P259):夫が妻と通じる男の男根を切ると同時に自分の鼻も落としてkarikubi鼻となる話
第157番 雁の田楽(P260):雁を食べてしまった婆は、自分のぺチョコを切り離し、雁だと言って爺に食わせる話
第158番 胡桃餅と幽霊(P261):妻が死に夫は別の女を娶るが、仏壇を拝むと位牌からビタが飛んで額についた話
第159番 カバネヤミ(P261):怠け者は頭の焼飯を解く様頼むが、相手も同様で傘紐の緩みを口開け張っている話
第160番 テンポ(P261-P262):京のテンポが田舎のテンポの元にホラ吹き比べに来たが、童子のホラに去る話

第161番 上方言葉(P262-P263):上方言葉を覚え帰ってきた田舎者が、怪我をして医者におかしな手紙を書く話
第162番 長頭廻し(P263):村に来た代官の役人の言うチョウズを長い頭の者と勘違いし役人に差し出す村人の話
第163番 長い名前
     01 その一(P264):長寿を願い長い名前を付けた子供が川に溺れ、助けを呼んでいるうちに死んだ話
     02 そのニ(P264-P265):長い名前を付けた子供が井戸に落ち、その助けを呼んでいるうちに死んだ話
第164番 桶屋の泣輪(P265):大工と鍛冶屋と桶屋が婿になろうと競争、勝ったのは鍛冶屋で桶屋は最後だった話
第165番 いたずら(P265):観音様は男に銭を与えても無駄遣いするので、三度目に男の顔に板をくっつける話
第166番 話買い
     01 その一(P266):男は一両で買った話が一言で気抜けしたが、後にその言葉のお陰で命が助かる話
     02 そのニ(P266-P269):三つの話を買った男は、その言葉の通り行動したことでついに長者になった話
第167番 額の柿の木(P269):額に柿の木の生えた男、柿で儲け、キノコで儲け、抜いた穴から出た甘酒で儲けた話
第168番 柿男(P270):柿が食いたい下女、ある晩たずねてきた背の高い真赤な男の尻をえぐり舐めたら甘かった話
第169番 柳の美男(P270):ニ三日柳の枝に絡まれていた女は、美男が来て抱きつかれ意識が無くなったと言った話
第170番 履物の化物(P271):履物を粗末にする家で、下女が毎晩化物を見る、覗くとそれは履物の化物であった話

第171番 和尚と小僧譚
     01 その一(P271-P272):夜隠れて餅を食う和尚、三人の小僧は知恵を出し餅をみんな食ってしまう話
     02 餅搗き(P272-P273):和尚はまたもや隠れて餅を食おうとするが、小僧は隠れ知恵を出し餅を食う話
     03 太鼓破り(P273):太鼓を破った三人の小僧、リンリンの文句を入れた歌を各々詠み和尚に許される話
     04 四貫八百(P273-P274):和尚と小僧は法事に行く、和尚はお布施を四貫、小僧には八百しかあげない話
     05 水汲み(P274):復讐に小僧は仲の良い門前の嫁と和尚両方にお互いの悪口を吹き込み喧嘩させる話
     06 豆腐(P274-P275):デンガク豆腐を二十串焼き、和尚は一人でとろうとしたが殆ど小僧にとられる話
     07 小便(P275):小僧は神に失礼だと和尚に小便をとめられ、和尚のカミが無い頭にする話(134に類似)
第172番 馬鹿聟噺
     01 金屏風(P276):馬鹿婿は舅の家に呼ばれ、一度目は嫁の知恵で解決したが、二度目も同じ事を叫ぶ話
     02 物貰い(P276-P280):馬鹿婿は舅の家に行くたび貰う物をちゃんと持って帰れない、母親は呆れる話
     03 馬買い(P280):馬を買ってきた馬鹿婿に爺婆が聞く、婿の歌と馬の掛け合いから婿を追い出した話
     04 厩舎褒め(P280-P281):婿は舅の家に呼ばれ、オカタの知恵で褒められ、図に乗りまた同じ事を言う話
     05 大根汁(P281):嫁が縄を引き婿は台詞を喋る、嫁は便所へ、猫が縄を引く度に婿は台詞を繰り返す話
     06 小謡(P281-P282):馬鹿婿は団子を食べ瓶から頭が抜けなくなる、舅は石で尻を拭きその瓶に投げる話
     07 舅礼(P282-P283):舅礼に行った馬鹿婿は、勘違いして舅姑の前で一升樽を頭の上に上げ怒鳴った話
     08 茶釜(P283):馬鹿婿は小便を茶釜でして抜けなくなった、姑の子をあやす歌で凍り水をかけ抜ける話
     09 枕(P283-P284):夜、舅家で馬鹿婿は枕を知らず嫁に聞くが、名前を聞かれたと思いお駒と答える話
     10 屏風の話(P284):舅家で馬鹿婿は屏風を知らず一晩中立て方を悩んだ、翌日舅にその名前を聞く話
     11 雪降りの歌(P284-P285):嫁は馬鹿婿のくだらない即興歌を良い歌に翻訳して舅に聞かせ感心させた話
     12 団子(P285):舅家で食べた団子という言葉を忘れず帰ろうとしたが、途中でウントコに変わった話
     13 鶏(P285-P286):馬鹿婿が節穴から小便すると、中の鶏に丸呑みにされる、そしてkintamaと鳴いた話
     14 相図縄(P286-P287):箸をつける順番の合図を婿に嫁は紐でしていたが、そこに猫が絡まりばれる話
     15 シャッポと茶釜(P287):人のかぶるシャッポを自分もかぶりたくて、大きな茶壺をかぶり歩く婿の話
     16 飴甕(P287-P288):腹の空いた婿が夜中に飴のカメに両手を入れ抜けなくなり、朝まで抱いて寝た話
     17 柊の椀(P288):嫁の知恵で椀を弾き褒められた婿は夜、腹痛の舅の睾丸を弾いて柊の椀だと言った話
     18 蛸振舞い(P288):舅家で馬鹿婿が夜半に蛸を食べるとその汁が睾丸にかかり痒くなりしゃがみ唄った話
     19 饅頭と素麺(P289):馬鹿婿が舅家の饅頭の湯気が怖いので殺してから食うといい、天井に投げつける話
     20 沢庵漬(P289):嫁に糠で体をこすれと教わった馬鹿婿が、石につまずき忘れ、沢庵で体をこする話
     21 船乗り(P289):妻の歌の返歌を寺の和尚に教わった婿は、妻の前でその歌を詠み夫婦仲が良くなった話
第173番 馬鹿嫁噺
     01 オつけ言葉(P290):馬鹿嫁は母親に他所に行ったらオをつけて喋るものだと教わり、何にでも付ける話
     02 鶯言葉(P290):馬鹿嫁がウグイス言葉を勘違いした話と、裾を上げ有合せの物を出して食事した話
第174番 馬鹿息子噺
     01 牛の角突き(P290-P292):馬鹿息子は父親の注意を異なる場で行い、最後牛の間に入り死んでしまう話
     02 飴甕(P292):親父は飴甕の尻を息子が押えていると思い落とし粉々に、息子は自分の尻を押えていた話
第175番 尻かき歌(P292):馬鹿娘は、隣家の娘が絵を画いていた話を父親から聞き、裾を上げ尻を掻き歌を詠む話
第176番 嫁に行きたい話
     01 その一(P293):仲人を断わった家人に老齢の婆は反発、婆様はよほど嫁子に行きたかったと見える!
     02 手煽り(P293):仲人に何も知らない子供だと断わると、娘が出てきて今寒いのを知ってると表現した話
第177番 唖がよくなった話(P293):饅頭口に入れた嫁を話せなくなったと思い姑は山伏を呼び祈祷、間に飲み込む話
第178番 屁ッぴり爺々(P294):爺は面白い屁で神様に木の伐採許可を貰う、隣の爺も真似して力むが叱られた話
第179番 爺婆と黄粉
     01 その一(P294-P296):一粒の豆が鍋一杯に、臼でつき黄粉にしたが婆の尻に付き爺がみんな舐めた話
     02 爺の屁(P296):一粒の豆を煎って臼でついて粉にした、爺の屁で飛び婆のまんに付き犬がみな舐めた話
第180番 屁ッぴり番人(P297-P298):ダンダッと屁の鳴る弥太郎は米蔵の番人に雇われ、盗人は驚き逃げ出す話

第181番 屁ッぴり嫁
     01 その一(P298-P299):嫁の屁で姑が吹き飛ばされ、息子は嫁を里に帰そうとするが、思い止まる話
     02 そのニ(P299):嫁の屁で姑が吹き飛ばされ、嫁を里に帰そうとするが、柿の木を倒し思い止まる話
第182番 眠たい話
     01 三人旅(P299-P300):一本橋で大風吹き、ムカシはムクしてハナシはハズクレテ、ナンゾは流れた話
     02 三ツ話(P300):鬼が出てきて怖いと思い、鬼が屁をひり可笑しくて、鬼が死んでしまって悲しい話
     03 笹山焼け(P300):火事をメクラが見つけて、オッチが叫んで、ビッコがトウクワ持ち火を消した話
     04 昔さら桶(P300):大きな桶を何桶だと聞くとムカシサラオケだと答えた、昔話を棄てるなという話
     05 昔刀(P300):先に車のつく長い刀を何だと聞くとムカシカタナだと答えた、昔話を語るなという話
第183番 きりなし話
     01 橡の実(P300-P301):風に吹かれトチノミが川に落ち、沈んで回転して浮き上がって流れていく話
     02 蛇切り(P301):爺が山に行き鍬で掘ると蛇が出るのでブツリ切る、するとまた蛇が出てブツリ切る話
     03 蛇の木登り(P301):家の門口の梨の木を長い長い蛇が登る、今日もノロノロ、明日もノロノロな話
     04 路傍の蚯蚓(P301):炉の灰からペロッと出たミミズを童が切ると、またミミズがペロッと出る話
     05 シダクラの蛇(P301-P302):石積みからペロッと出た蛇を裸の童が切ると、また蛇がペロッと出る話

聴耳の持ち主 - 益田勝実(P303-P315)
佐々木喜善のこと - 山下久男(P316-P320)