演劇・ラジオ関連
糸繰り人形劇 きこりトンベエ(一幕二場)
初公演 : 1949年11月
劇団 : 人形劇団プーク(1929年-)
白土との関連
劇中歌が白土作品「カムイ外伝(第一部)」第8話「九の一」(1965年)内で印象的に使用されている。

山じゃなあ/木をきる/木をきる
川じゃなあ/流せ/流せや
えい/えい/やれや/えいやれや
あらすじ
木こりのトンベエが天狗のうちわで3つの願い事をかなえる
ドイツのヨハン・ペーター・ヘーベルの暦物語「三つの願い」を基礎に創作された人形劇。

脚本(作・高山貞章/改補・川尻泰司)および劇中歌の楽譜(作詞・高山貞章/作曲・長沢勝俊)が以下書籍に収録されている。
・「人形劇脚本集」第一集(人形劇団プーク編)/未来社/1956年8月10日発行

人形劇「きこりとんべえ」として1953年9月28日の12:15-12:30(15分間)、日本テレビ(NTV)で放映された(外部リンク)。
演劇 袴垂れはどこだ
公演期間 : 1964年5月27日(水)-1964年5月31日(日)
劇団 : 青年芸術劇場(1959年-1966年)
劇場 : 俳優座劇場
白土との関連
白土はコンセプトイラストを依頼され、上演前の会誌にその描き下ろしイラスト2枚が掲載される。 これはのちの単行本「福田善之第二作品集」のカバーにも使用され、あとがきにはこう書いてある「白土三平さんの絵は、「袴垂れ」上演時に書いていただいたもの。感謝」。

※会誌「青芸6」P20-21
あらすじ
時は平安から室町にかけての、いつでも。……ある寒村。村人たちは、いつはてるともしれぬ暗闇を歩き続けるような、圧制に苦しむ暮しを暮していた。彼等の唯一の救いといえば、見知らぬ旅の坊主の残したことば、いつか、袴垂れの党がやって来て、虎よりも猛き苛政に苦しむ村人を救うであろう、という予言を信じ、待ち続けることだった。しかし、袴垂れはあらわれない。俺たちは解放されずに、期待のままおわってしまうのだろうか。いっそのこと、袴垂れを探しに出かけたらどうだ?「袴垂れ」のお名前を拝借して、にせの「袴垂れの党」を作って旅を続けたら、本物に出会えるのではないだろうか。そのためには、党の掟が必要だ。村人たちは、「袴垂れ」を名のり、掟を作って旅を続ける。そして七年。村人たちの前に、一人の男があらわれる…………。(ここまで会誌「青芸6」より) 目の前に現れた男(袴垂れ)は、村人達が自分達に「袴垂れの掟」として言いきかせている精神(奪った品物は全てその地の者達に分け与え人を殺さず女を奪わぬなど)とは間逆の人物だった。村人達は男を殺し、理想の「袴垂れ」を演じ続ける。いつか「本物の袴垂れ」に出会う日まで。
青年芸術劇場(青芸)の第6回発表劇。幕間狂言のある二幕九場。18時30分開演、土日は13時30分開演のマチネーあり。入場料1人500円。 福田善之による脚本で、ストーリーは中国の「山をおりる」(郭小川)と「紅軍をさがす」(馬識道)を元にしている。 1964年3月、NHKのラジオドラマとして青芸メンバーによって放送され、5月、それに続き演劇として上演された。 脚本は1967年に単行本で刊行されている。


※会誌「青芸6」(1964年5月発行)表紙
※単行本「福田善之第二作品集 オッペケペ/袴垂れはどこだ」福田善之(1967年5月30日発行/三一書房/750円)カバー
演劇 赤目
公演期間 : 1967年12月9日(土)-1967年12月24日(日) / 1968年1月5日(金)-1968年1月21日(日)
劇団 : 自由劇場(1966年-1996年)
劇場 : アンダーグラウンド・シアター
白土との関連
白土作品「赤目」(1961年)を元に脚本が書かれている。
あらすじ
紙芝居衰退が極まった時期、黒田三郎は、紙芝居仲間吉やんのアイデアを発展させ、新しいストーリーを書き出していた。ラジカルな一般テレビの普及は、紙芝居で生計を立てることを不可能とし、とうとう吉やんさえも紙芝居を辞めてしまう。しかし三郎は「この話は紙芝居でなければ」と、続けていくのだった。それを見かねた友人の小野と早苗は人形劇の世界へと三郎を誘い続ける。しかし「紙芝居」に強く拘る三郎の信念に共鳴した早苗は逆に好きだった人形劇を辞め、三郎の手伝いを始めるのだった。早苗の語りで進んでいく三郎考案のストーリー「赤目」。小野・三郎・早苗三人の話し合いと交互に「赤目」の物語が進んでいく。最後に漫画で大成した三郎、彼と結婚した早苗、人形劇を続けている小野の問答が続き、「赤目」ラストの気が狂った上人の笑いで劇は終わる。
自由劇場の第6回公演劇。 演劇「赤目」は「白土の生い立ち」というような物語として書かれてはいるが、完全なフィクションである。白土の考えを具現化しているものでもない。この劇で三郎は完全なアウトサイダーとして描かれるが、彼は現実の白土とは逆の考えの持ち主とみえる。三郎は生計の立てられる仕事を批判してまで紙芝居を続け、そして大成後アニメ化のオファーを自作品とテレビ媒体の差異を理由に断わっている。当時はこのように白土のアウトサイダー性を持ち上げる空気があったらしいのだが、実際の氏の軌跡は違っていた。白土は生計第一で仕事をしてきたし、インサイドに近づこうと努力をし続けてきた。しかし雑誌社からは連載を断わられ続け、アニメも第一作目(風のフジ丸)でアニメ会社から裏切られるといった仕打ちを受けた。メディアに出ないのも、主である仕事(作品制作)の時間を削れない理由からであった。当たり前だが、純粋なアウトサイダーが歴史に名を残すことはない。 「白土三平選集」第16巻(1970年)の月報に、脚本家・斉藤憐が寄稿をしており、白土に脚本の許可を求めに行った時の様子が書かれている。


※演劇台本「赤目」斉藤憐(1967年)表紙
ラジオ番組 誰よりもマンガを愛した男〜『ガロ』編集長・長井勝一〜
放送日 : 1994年5月30日(月)19:00-20:00 (60分)
放送局 : 東北放送
白土との関連
白土へのインタビュー音声。
長井勝一の経歴と、「月刊漫画ガロ」の紹介。石川太郎・郡和子によるナレーション。
長井勝一・白土三平・南伸坊・呉智英・勝又進・矢口高雄・山中潤にインタビューした音声および、水木しげる・つげ義春・永島慎二・蛭子能収にインタビューした内容を紹介。

放送エリアは宮城県全域と岩手・秋田・山形・福島各県の一部のみであったため、聴取者は限られていた。 ただ、この放送のために録音された膨大なインタビュー音声のうち、1994年3月10日に富津市の白土邸で収録された白土三平夫妻と長井勝一夫妻へのインタビューを文字に起したものの一部は「月刊漫画ガロ」1994年9月号に掲載された(1996年3月号に再掲載)。
ラジオドラマ カムイ外伝
放送日 : 1995年1月2日(月)21:00-23:00 (120分) ※1996年1月2日(火)に再放送
放送局 : NHK-FM (番組名 : NHK 青春アドベンチャー)
各話タイトル
 一之巻 飯綱落とし
 二之巻 抜忍
 三之巻 鶴
 四之巻 スガルの島
白土との関連
白土作品「カムイ外伝(第一部)」(1965年)のうちの一部と、「カムイ外伝第二部」の「スガルの島」編を原作に脚本が書かれている。
ダミーヘッドサウンド(3Dサウンド)。脚本は吉田玲子。演出は川口泰典と芦田健。カムイの声は古澤徹が担当している。未CD化。 発売されていないので説明すると、一之巻から三之巻までが約55分、四之巻が約55分という内訳になっている。 一之巻「飯綱落とし」は原作第一部第1話「雀落し」、第2話「飯綱落し」、第3話「月影」のエッセンスを取り込み再構成したもの。 二之巻「抜忍」は原作第一部第15話「老忍」と第16話「抜忍」を基にしている。 三之巻「鶴」は原作第一部第8話「九の一」を基にしている。 四之巻「スガルの島」は原作第二部「スガルの島」編を基にしている。 ただ「九の一」のキコリの歌や、「スガルの島」のサンカの祓いが再現されていないのは残念だ。 クライマックスはサヤカのカムイへの告白場面かな。
ラジオドラマ 続・カムイ外伝
放送日 : 1995年8月18日(金)23:10-25:00 (110分) ※1996年1月3日(水)に再放送
放送局 : NHK-FM (番組名 : NHK 青春アドベンチャー)
各話タイトル
 第一部(上の巻) 遠州
 第一部(下の巻) 仕掛け崩れ
 第二部 飛天の酉蔵
白土との関連
白土作品「カムイ外伝第二部」のうちの一部を原作に脚本が書かれている。
ダミーヘッドサウンド(3Dサウンド)。脚本は吉田玲子。演出は川口泰典と芦田健。カムイの声は古澤徹が担当している。1997年3月17日に徳間ジャパンコミュニケーションズから2枚組CDで発売された(定価3500円)。

※CDジャケット表と、当時の「ビッグコミック」広告頁