カムイ伝第二部
作品解題
「カムイ伝(第一部)」終了から17年経っての再開。 この第二部には第一部のキャラクターはもちろん、「カムイ外伝」のキャラクターも登場する。つまりキャラクターストーリー的にこの前に連載されていた「カムイ外伝第二部」から続く形にもなっている。

第一部と大きく異なる点は、作中に歴史上の人物を多く登場させていることだ。 それによる制限として、舞台である架空の藩「日置藩」の場所を紀州(大阪府の南、三重県・和歌山県の下方)の辺りに定めている。 「月刊漫画ガロ」1994年9月号誌上の対談で白土は「日置藩、あんなものは無いわけだからさ。でもここまで来ちゃうとある程度紀州の方に設定しなくちゃいけないのね」と話しているが、 同じ対談中「前第1部の方とで年代なんかは変更になっちゃったわけ」とも話している。 これも歴史上の人物を多く登場させたことによる変更で、なんと第二部は第一部と年代が重なっている。 つまり舞台の時系列で第一部と第二部は繋がっていないが、登場人物のストーリー的な続編ではあるのだ。各々単体の作品として読む場合はかまわないが、第一部から連続して読むとここに違和感を感じる読者もいるようだ。


※「ビッグコミック」1988年5月10日号より、新連載扉と冒頭頁

連載は「ビッグコミック」1988年5月10日号の「猿山1」で開始され、同誌2000年4月10日号の「犬戯け20」で終了している。 しかし連載中には完結せず、2006年に発行された単行本「カムイ伝全集 [第二部]」最終巻で描き下ろしの5枚が追加収録され完結している。 この作品は単行本化の際、連載時の扉絵が全て削除されている。それでもGC版の表紙にそのうちの幾つかが部分的に使われている。 下は単行本化の際、見開き調整上割愛された頁。GC版では第10巻のP174とP175の間に、全集版では第6巻のP86とP87の間に存在したもの。 こういった引いた構図は、読者が場を把握する上での一助となるので惜しい。


※「ビッグコミック」1993年11月10日号より