真田剣流 |
連載各回初出詳細 |
この作品は第一部と第二部からなる。「忍者旋風」の続編であり、完結編の「風魔」へと続く。 |
予告編 |
白土は「忍者旋風」(風魔忍風伝)執筆終了直後、その最終巻である貸本「忍者旋風6号 流星の巻」とほぼ同時期発行された貸本「忍者人別帖2」に「忍者旋風-真田剣流予告篇」全12枚を掲載した。
実はこれは貸本の頁数調整の為に急遽描かれたものであるらしい。同貸本掲載の「犬を呼ぶ少女」の予定枚数オーバーにより目次に載っている「伝火矢才蔵」を収録出来なくなったためだ。
この予告編は貸本「剣風記」(1961年)にも再録されている。
※貸本「忍者人別帖2」(1959年12月発行/東邦漫画出版社)P181-183より 予告編の内容は下のようなもの。 新免武蔵が敵5人を同時に倒し、喜んでいると木陰で物音がした。そこにいた老人に挑発され決闘を挑むがかなわず負けてしまう。武蔵が老人に剣の流儀を聞くと、老人は「フフフフフ真田剣流じゃ」と言い、消えて行った。武蔵は「真田剣流……完全に負けた。だが………いつかかならず破って見せる……かならず……」とつぶやく。 この内容は実際に「真田剣流」内で木陰に居た老人を風魔太郎に替え使われている。この老人は「忍者旋風」のラストで空へ去った十官道人である。この「予告篇」最終頁の文章を載せておく。 武蔵(たけぞう)となのるこの若者は、勿論かの二刀流でその名を知られる宮本武蔵である。だが、彼はこの物語の主人公ではない。しかし、彼が後に二天円明流をあみだし剣聖とまでいわれる剣客に成長したのは、その生涯をつうじて「真田剣流」に対する挑戦によって成しとげられたといっても過言ではなかろう。真田剣流、それはいかなるものか?……そして、この流の陰にひそめられた謎、そしてこれをめぐって起こる死闘の渦巻にまきこまれ登場する、有名無名の忍者、剣客、歴史的人物、諸事件の中で物語は発展し展開されて行くだろう。 全巻を通じ真田剣流をみきわめようとする謎の少女、おなじみの真田幸村をはじめ、猿飛佐助、霧隠才蔵、穴山小助の真田六連銭の面面にならび、天才的な術を見せる木村重成、徳川の忍者半蔵、おそるべき陰流の柳生一族、そしてそれらに単身いどむ死の商人伊勢屋十兵衛…これらのいりみだれる中で、かの風魔小太郎とその一族がいかなる活躍をなすか?…次号、忍者旋風(7)真田剣流をごきたい下さい。 ※貸本「忍者人別帖2」(1959年12月発行/東邦漫画出版社)P192より この予告編は2010年発行の「忍者旋風 未復刻集成」(小学館クリエイティブ)に復刻収録された。 |
第一部 |
※各巻表紙および中扉
貸本「忍者旋風7号 真田剣流 1」(1961年09月27日脱稿/1961年10月20日発行/東邦漫画出版社/180円) ※小題「プロローグ」「怪人暗夜軒」「妖術(丑三)」「真田の忍者」「謎の群」「真田剣流」「真田屋敷」「秘巻丑三」 貸本「忍者旋風8号 真田剣流 2」(1962年1月脱稿/1962年03月01日発行/東邦漫画出版社/200円) ※小題「剣光」「割散」「猿風」「死の影」「風魔」「流光」「密宗」「丑の刻」「風穴」「茨木」 「真田剣流」はすぐに貸本「忍者旋風7号 陰の巻」として発行されるはずだったが、構想の変化からかその約2年後に第1巻が、間をおいて第2巻、その全2巻で発行された。下のものは貸本第2巻ラストの文章。 いよいよ丑三の術をめぐって怪人暗夜軒と猿飛の斗いが始まろうとしている。これにならんで風魔一族の移動が開始された。この風魔一族が目的とするところは何か?まだこの巻においてはいかなる立場で動く者達なのか知ることは出来ない。ただ乞食少年太郎、つまり風魔の太郎がこの物語の真の主人公であることは明らかにしておこう。さらにつけくわえておきたいのは千代田区の今村君の推理は、丑三の術の秘密にかなり肉薄しています。しかし、この術の正体をつかむにはまだほど遠い所にあるようです。どうです、この物語の完結するまえにその正体をあばいて見てはくれませんか?………ではまた次号でおあいしましょう…… ※貸本「忍者旋風8号 真田剣流 2」P144より このあと数年を経て雑誌に第二部が発表されるが、この貸本に掲載のものはその第二部連載中に「第一部」として四段組改稿(一部コマの描き直しもある)し、「少年ブック」増刊号誌上に全3回に分けて再発表される。のちに単行本に収録されたものは全てこの四段組改稿版。 第一部 桔梗の巻(「少年ブック」1965年春休み増刊号/1965年4月15日発行/集英社/130円) ※小題「プロローグ」〜「真田の忍者」 第一部 猿飛忍群の巻(「少年ブック」1965年夏休み増刊号/1965年8月15日発行/集英社/140円) ※小題「なぞの群」〜「風魔」冒頭 第一部 風魔一族の巻(「少年ブック」1966年お正月増刊号/1966年1月15日発行/集英社/170円) ※小題「風魔」〜「茨木」 「少年ブック」1965年春休み増刊号は1965年3月20日発売なので、貸本を読んでいない一部の「少年ブック」読者は、第二部連載第8回目を読んだ後初めて第一部に触れている。 残りの増刊号2冊は第二部最終話掲載の「少年ブック」発売の後に発売されている。 もちろんこの間に白土の画風は変化している。比較のため、1961年貸本第1巻初出時の桔梗(左2つ)と、1965年の増刊号人物紹介頁の桔梗(右2つ)を並べて下に載せる。服の模様が桔梗で、頭の花は飾り。 ※1961年 ※1965年 |
第二部 |
そして第二部の連載詳細は以下。 |
連載回数 | 小題 | 枚数 | 脱稿日 | 発表誌 「少年ブック」 | |
第1回 | 第二部 第1話 小法師の巻 | 34 | 1964年07月14日 | 1964年9月号 | |
第2回 | 第二部 第2話 忍者夜鷹の巻 | 34 | 1964年07月23日 | 1964年10月号 | |
第3回 | 第二部 第3話 死の商人の巻 | 34 | 1964年07月26日 | 1964年11月号 | |
第4回 | 第二部 第4話 夜賀のコワミの巻 | 34 | 1964年08月01日 | 1964年12月号 | |
第5回 | 第二部 第5話 共鳴りの術の巻 | 33 | 1964年10月09日 | 1965年1月号 | |
第6回 | 第二部 第6話 陰月の太刀の巻 | 33 | 1964年11月23日 | 1965年2月号 | |
第7回 | 第二部 第7話 三つボクロの巻 | 33 | 1964年12月24日 | 1965年3月号 | |
第8回 | 第二部 第8話 風魔一族の巻 | 33 | 1965年01月24日 | 1965年4月号 | |
第9回 | 第二部 第9話 風魔主領の巻 | 33 | 1965年01月31日 | 1965年5月号 | |
第10回 | 第二部 第10話 怪僧天海の巻 | 33 | 1965年02月07日 | 1965年6月号 | |
第11回 | 第二部 第11話 タンジンの巻 | 33 | 1965年02月01日 | 1965年7月号 | |
第12回 | 第二部 第12話 丑三の巻 | 33 | 1965年02月09日 | 1965年8月号 |
※第二部の連載は「風魔」に続く。物語は「風魔」で完結する。
※全連載カラー扉頁付きで、それ以外にカラー頁は無い。 ※第10話と第11話の脱稿日記述が前後している。 |
集英社 別冊少年ブック 第2巻第4号(1967年7月号) 真田剣流・真田忍群の巻 発行 : 1967年7月30日 定価 : 150円 全348頁 ※表紙から裏表紙まで ※表紙描き下ろし |
収録作品名
真田剣流 |
「風魔」の連載終了後に発行された。内容は四段組改稿後の「第一部」全てと、「第二部」の第3話まで。各話扉頁は無い。 巻末にはおまけとして「真田剣流の魅力」(横井武雄著)など読み物と、「白土先生にきく」という白土のインタビュー記事も掲載されている。 中扉絵は連載第9回目(第9話)扉絵の流用。 |
カラー頁の有無
フルカラー:巻頭8頁(P3-10) / 二色カラー:なし |
集英社 別冊少年ブック 第2巻第5号(1967年9月号) 真田剣流・丑三の術の巻 発行 : 1967年9月30日 (8月10日発売) 定価 : 150円 全348頁 ※表紙から裏表紙まで ※表紙描き下ろし |
収録作品名
真田剣流 |
2冊目。内容は「第二部」の第4話から最終第12話まで。各話扉頁は無い。 巻頭の「真田忍群とは…」(酒井公春著)に掲載の作者写真はCC「真田剣流」第2巻(1968年)でも使用のもの。 中扉絵は連載第10回目(第10話)扉絵の流用だが、桔梗の肌に色の塗り直しがみられる。 |
カラー頁の有無
フルカラー:巻頭8頁(P3-10) / 二色カラー:なし |